“まずはwonderboyがリーディングし始めた。終了後に本人に名前を確認するまで誰だか分からなかったのだが、生で聴いてもなかなか魅力的な声の持ち
主だった。タイのプロサッカーリーグで選手として活躍する同級生に向けて書かれた詩は、時に友人が目の前にいて語りかけるように、時にいまだ何も持ち得て
いない、何も成し得ていない自分たちを自嘲しながら進んでいく。テーマとしてはありがちなものだが、それを読み上げる彼の声には切なさが混じり、そこが良
い。来年5月にアルバムリリースを考えているらしく、期待したい。
次は降神のなのるなもない。彼が口を開くだけであっという間に別世界を創り出す。”できることなら何も感じない機械になりたい なんて正気かい? 伝わらないもどかしさに疲れの取れぬ日々の忙しさに置き去り”。歌うようなフロウはとても音楽的で耳には心地良いのだが、正直書けばその歌われる内容は理 解しにくい。”ガイドラインは俺たちのワイルドさ”はどのタイミングで飛び出したのか覚えていないが、脳にこびりつく一節だった。
1分ぐらいで終わり、間髪入れずに志人へ。”隣国を愛す我らひとつの民族と捉える 信仰する宗教やまとわりつくナショナリズムはさておいて 目には見えぬ壁という壁を通り抜けるのだね 邪念を捨て 誰もが似て非なる各々だけの風となる”。いきなりとうとう始まる志人のリーディングは、なのるなもないに比べれば、イメージしやすい言葉が使われているた めに幾分物語性を感じる。が、深いところで理解できていないのは同じ。
緩急をつけ、さらには動と静を意識しながら、韻は踏みまくり、馴染みのフレーズを盛り込み、聴く者を圧倒していく。やっぱりこのふたりはすごい。ヒップ ホップとかそういった狭いジャンルにとらわれることなく、自分たちのスタイルを模索し、深化させ、それを確実にエンターテイメントに落とし込んでいる。
最後は谷川俊太郎が読むということで、みんなで彼に近づき輪を狭めた。そのことで生まれた妙な一体感が面白い。谷川が読んだのは「詩人の亡霊」と題された1分ほどの詩だった。
“詩人の亡霊が佇んでいる”で始まる、なかなか意味深長な詩だ。”文学史の片隅に名を残した”詩人の亡霊は”書棚の奥でいまだに親友と名声を競い合ってい る”という。しかし、生前の詩人はわずかばかりの名声を得たのかもしれないが、実際は詩の真理を理解せず、また自然の神秘を言葉にできたと思っているだけ だった。なぜなら詩人は”一滴の汗も血も流”すことをしなかったからだ。
この詩を選んだ理由が気になった。若い詩人たちにそうならないように気をつけろよというエールなのか、それともこの日に読まれた詩があんまりな出来であり、詩人を名乗るのは結構だが、この詩人の亡霊と同じことだぞとの苦言だったのか。
ともかく、谷川のリーディングで終了。21時34分。
たった4人のパフォーマンスしか見られなかったわけだけど、すでに完成されたスタイルを持ち、見せることに磨きを掛けている人たちだったこともあり、何のストレスもなく、短い時間ではあったものの楽しめた。wonderboyを目撃できたのも嬉しかった”
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次は降神のなのるなもない。彼が口を開くだけであっという間に別世界を創り出す。”できることなら何も感じない機械になりたい なんて正気かい? 伝わらないもどかしさに疲れの取れぬ日々の忙しさに置き去り”。歌うようなフロウはとても音楽的で耳には心地良いのだが、正直書けばその歌われる内容は理 解しにくい。”ガイドラインは俺たちのワイルドさ”はどのタイミングで飛び出したのか覚えていないが、脳にこびりつく一節だった。
1分ぐらいで終わり、間髪入れずに志人へ。”隣国を愛す我らひとつの民族と捉える 信仰する宗教やまとわりつくナショナリズムはさておいて 目には見えぬ壁という壁を通り抜けるのだね 邪念を捨て 誰もが似て非なる各々だけの風となる”。いきなりとうとう始まる志人のリーディングは、なのるなもないに比べれば、イメージしやすい言葉が使われているた めに幾分物語性を感じる。が、深いところで理解できていないのは同じ。
緩急をつけ、さらには動と静を意識しながら、韻は踏みまくり、馴染みのフレーズを盛り込み、聴く者を圧倒していく。やっぱりこのふたりはすごい。ヒップ ホップとかそういった狭いジャンルにとらわれることなく、自分たちのスタイルを模索し、深化させ、それを確実にエンターテイメントに落とし込んでいる。
最後は谷川俊太郎が読むということで、みんなで彼に近づき輪を狭めた。そのことで生まれた妙な一体感が面白い。谷川が読んだのは「詩人の亡霊」と題された1分ほどの詩だった。
“詩人の亡霊が佇んでいる”で始まる、なかなか意味深長な詩だ。”文学史の片隅に名を残した”詩人の亡霊は”書棚の奥でいまだに親友と名声を競い合ってい る”という。しかし、生前の詩人はわずかばかりの名声を得たのかもしれないが、実際は詩の真理を理解せず、また自然の神秘を言葉にできたと思っているだけ だった。なぜなら詩人は”一滴の汗も血も流”すことをしなかったからだ。
この詩を選んだ理由が気になった。若い詩人たちにそうならないように気をつけろよというエールなのか、それともこの日に読まれた詩があんまりな出来であり、詩人を名乗るのは結構だが、この詩人の亡霊と同じことだぞとの苦言だったのか。
ともかく、谷川のリーディングで終了。21時34分。
たった4人のパフォーマンスしか見られなかったわけだけど、すでに完成されたスタイルを持ち、見せることに磨きを掛けている人たちだったこともあり、何のストレスもなく、短い時間ではあったものの楽しめた。wonderboyを目撃できたのも嬉しかった”
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降神&wonderboy@代々木公園 | すばらしくてNICE CHOICE
wonderboy、なのるなもない、志人、谷川俊太郎